日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵周囲リンパ節に生じたfollicular dendritic cell sarcomaの1例
石井 生高田 実野口 寛子三橋 智子中村 文隆樫村 暢一
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2014 年 75 巻 11 号 p. 3147-3151

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抄録

症例は72歳,男性.スクリーニングCTにて胃体上部後壁に41mm大の腫瘤を認めた.上部消化管内視鏡では胃体上部後壁に壁外性腫瘤を認め,MRIで腫瘤はT2強調像で充実性/嚢胞性成分が混在しDWIで強い拡散低下を示した.胃壁原発の腫瘤としてGISTが鑑別に考えられ,腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.腫瘤は胃と剥離可能な膵上縁の病変であり,病理所見では異型紡錘形細胞が小型リンパ球の混在を伴い増殖し,S-100・CD21・CD23・CD35・FDCが陽性,サイトケラチン・c-kit・CD34・SMAが陰性であったことから,膵周囲リンパ節に生じたfollicular dendritic cell sarcoma (FDCS)と診断した.FDCSは全体として中等度の悪性度を示す腫瘍であることが近年示され,切除可能であっても再発率が約半数に認められることから,術後の経過観察が重要な疾患である.

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© 2014 日本臨床外科学会
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