日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
膵管ステント留置および腹腔ドレナージを行ったIIIb型膵損傷の1例
赤羽 慎太郎福田 三郎藤崎 成至築家 恵美先本 秀人江藤 高陽
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 75 巻 11 号 p. 3141-3146

詳細
抄録

症例は29歳,男性.自動車の単独事故で救急搬送された.血液生化学で膵酵素の上昇を認め,腹部造影CTで膵頭部損傷が疑われた.バイタルは安定しており保存的治療を開始したが,第3病日に腹部症状が悪化し,内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)を施行した.膵頭部で主膵管外への造影剤漏出を認め,内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)を留置した.次いで,腹腔ドレナージ目的に緊急手術を施行した.第32病日にENPDを抜去し,造影で主膵管狭窄を認め,内視鏡的逆行性膵管ドレナージ(ERPD)を挿入した.その後,ERPDは留置した状態で第65病日に退院した.第149病日のERPで主膵管狭窄は残存していたが尾側膵管の拡張を認めず,ERPDを抜去した.IIIb型膵損傷は一般に手術適応とされるが,膵管ステントおよび腹腔ドレナージを行い,膵切除が回避できたIIIb型膵損傷の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2014 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top