日本臨床外科学会雑誌
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症例
開腹下に腹腔鏡を併用し修復した続発性会陰ヘルニアの1例
渡部 通章中林 幸夫大塚 正彦
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2014 年 75 巻 11 号 p. 3180-3184

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抄録

症例は73歳,男性.直腸癌に対し術前放射線化学療法(45Gy + UFT 400mg/day)施行後,腹会陰式直腸切断術を施行した.最終病期はstage IIIaであった.術後合併症はなく退院した.術後3カ月目より会陰部の膨隆を訴え,術後続発性会陰ヘルニアと診断された.脱出による疼痛を認めたため手術的治療が施行された.開腹アプローチで開始したが骨盤腔は狭く前方に屈曲が強く,直視下に骨盤腔前壁(精嚢・前立腺表面)やヘルニア腔深部は確認できなかった.開腹下に腹腔鏡を併用して深部を確認しC-QUR EdgeTM Coating Meshによる骨盤底形成術を行った.経過は順調で術後1年を経過してヘルニアの再発は認めていない.腹会陰式直腸切断術後の続発性会陰ヘルニアはまれな合併症であり,その治療法は確立されていない.若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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