抄録
緒言:肛門管癌における鼠径リンパ節郭清術の治療成績について検討した.対象:過去9年間に治癒切除された肛門管癌および下部直腸肛門管癌13例を対象とした.このうちの8例に組織学的に鼠径リンパ節転移を認め,同時性転移が4例,異時性転移が4例であった.鼠径リンパ節郭清術は転移陽性側のみに施行した.結果:8例中6例が術後再発をきたし,1例が腹膜播種,2例が骨盤内リンパ節再発,3例が遠隔臓器転移であった.鼠径部の局所再発は認められなかった.術後合併症では全例に患肢の浮腫が出現した.8例中7例に術後化学療法を施行した.3年以上の生存が7例に得られ,このうち無再発生存は2例であった.結語:肛門管癌の鼠径リンパ節転移に対する郭清術は術後患肢浮腫の発生頻度は高い.しかし,原発巣を含めた根治的な切除が可能な場合は,化学療法と併用することにより,長期生存が得られる可能性が示唆された.