日本臨床外科学会雑誌
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症例
化生性胸腺腫の1例
宮原 栄治板垣 友子桑原 正樹亀田 彰宮田 義浩仙谷 和弘安井 弥
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キーワード: 化生性胸腺腫
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2014 年 75 巻 2 号 p. 360-364

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抄録

化生性胸腺腫は多角細胞成分と紡錘形細胞成分が混在し二相性を示すまれな胸腺上皮性腫瘍である.今回,われわれは化生性胸腺腫の1手術症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は69歳,女性.検診の胸部X線で右第2弓の突出を指摘された.胸部CTにて前縦隔に80×69×36mmの不整形,内部は充実性・不均一な腫瘍を認めた.PET-CTではSUVmax10.2の高集積を認めた.胸腺腫瘍と診断し,胸骨正中切開にて周囲脂肪織とともに胸腺を摘出した.切除標本は8×6cmの被膜を有した腫瘍で割面は均一な黄白色充実性を呈していた.病理所見では多角細胞成分と紡錘形細胞成分が混在し,境界は明瞭であった.多角細胞からなる上皮性成分においては,AE1/AE3・E-cadherinが強陽性であり,紡錘形細胞成分においては,Vimentinが陽性であった.多角細胞と紡錘形細胞成分の二相性を示す化生性胸腺腫と診断された.

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© 2014 日本臨床外科学会
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