日本臨床外科学会雑誌
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症例
第13病日に手術を施行した特発性食道破裂の1救命例
新田 美穂島田 英雄西 隆之千野 修小澤 壯治幕内 博康
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2014 年 75 巻 2 号 p. 379-383

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抄録

特発性食道破裂は,迅速な診断と治療が予後に影響する緊急性の高い疾患である.今回われわれは,急性膿胸と診断され保存的治療が行われた後に手術を施行した特発性食道破裂の1例を経験した.症例は73歳,男性.自宅にて嘔吐後に,胸痛・呼吸困難が続いたため,当院へ救急搬送となった.胸部X線検査にて左気胸・胸水を認め,胸腔ドレーンを挿入した.急性膿胸の診断で胸腔洗浄を開始した際,食物残渣の混入を認めた.食道造影では胸部下部食道左壁より造影剤の漏出を認めた.内視鏡検査では破裂部位は胸腔内が観察し得る大きな裂創となっており,ドレナージ不良な大きな膿瘍腔が確認された.第13病日に左開胸食道破裂部縫合閉鎖・胃底部縫着術を施行,術後30日で軽快退院となった.特発性食道破裂は,保存的治療が困難と判断された際には発症から時間が経過していても手術を考慮する必要があり,縫合およびドレナージ法の工夫を要すと考えられた.

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