2014 年 75 巻 2 号 p. 394-397
症例は55歳,女性.検診の上部消化管造影検査にて異常を指摘され,当院内科受診となった.上部消化管造影検査では胃体上部小弯前壁になだらかな隆起性病変を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃体上部小弯前壁に隆起性病変を認めたが,粘膜面に異常を認めなかった.EUSでは第IV層由来の粘膜下腫瘍と診断した.腹部CTでは胃体部前壁に約4cmの腫瘤を認めた.以上より胃GISTを疑い手術を施行した.手術は腹腔鏡内視鏡合同胃部分切除術(LECS)を施行した.病理組織学的所見ではリンパ球,形質細胞を主とする細胞浸潤と線維化を認め,形質細胞はIgG4/IgG比が50%程度であったため,IgG4関連硬化性疾患(準確診群)と診断した.胃粘膜下腫瘍として発症したIgG4関連硬化性疾患(準確診群)の報告は,今回が初めてであり報告する.