抄録
症例は72歳,男性.義歯の安定材を誤飲し,咽頭痛にて当院耳鼻科を受診した.咽喉頭内に異物は認めず,経過観察となった.2週間後,臍周囲痛,発熱にて当院外科を受診となった.腹部CT上,明らかな異物等は認めなかったが,free airを認め,小腸穿孔の診断にて入院となった.
入院後保存的治療を行っていたが,1週間後右上腹部痛が出現し,腹部CTにて穿孔部位が移動していたため,X線透過性の義歯安定材による消化管穿孔の診断にて緊急手術を施行した.穿孔部位に板上の硬い義歯裏装材(トクヤマリベースII®)を認め,摘出し,小腸部分切除術を施行した.術後経過は良好にて第19病日に退院となった.義歯による消化管穿孔等の報告は多数あるも,義歯裏装材による報告は非常に稀であり,またこれはX線透過性であることから診断に苦慮する.