2014 年 75 巻 2 号 p. 500-505
症例は16歳,女性.14歳時に肛門管原発横紋筋肉腫(胞巣型)と診断され初診時に骨髄転移を認めた.胞巣型の進行例であり手術は施行せず,化学放射線療法および同胞間骨髄移植併用大量化学療法を施行した.その後 ,完全寛解を維持していたが骨髄移植から約2年3カ月経過した頃,右乳房にしこりを自覚し増大傾向を認めたため当科に紹介となった.右乳房C領域に弾性・硬,4.0×3.5cmの腫瘤を触知し,同部位に対して針生検を施行.免疫組織染色で腫瘍細胞はdesmin陽性,myogenin陽性を示し,横紋筋肉腫の乳腺転移と診断した.画像・骨髄検査で他部位に再発・転移を認めず,右乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行した.
横紋筋肉腫の乳腺転移は稀な病態であり,若干の文献的考察を加えて報告する.