抄録
症例は70歳,女性.突然の右季肋部痛を主訴に当院を受診した.血液検査,腹部超音波検査および腹部CT検査から総胆管結石による胆管閉塞を疑い,緊急内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査を施行した.総胆管内に凝血塊を認め胆道出血による胆管閉塞と診断したが,胆管膵管造影所見では膵・胆管の合流異常が認められ胆嚢内には陰影欠損を認めた.膵・胆管合流異常に合併した胆嚢癌および腫瘍からの出血による胆管閉塞の診断で胆嚢床切除術を施行した.病理組織学的診断は乳頭腺癌であった.術後は特に問題なく経過し術後14日目に退院となったが,最終的に術後4年目に多発肺・脳・リンパ節転移で永眠された.胆嚢癌が胆道出血の原因となり,引き続いて胆管閉塞を引き起こす病態は極めて稀な現象であり,かつ膵胆管合流異常の存在が確認できているものは渉猟しえた限りでは自験例のみであったため,文献的考察を加えて報告する.