日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
原因不明の非典型的後腹膜気腫症の1例
山岸 大介山野 智基小林 政義濱中 美衣松原 長秀冨田 尚裕
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 75 巻 2 号 p. 579-585

詳細
抄録

症例は62歳,女性.主訴は右下腹部腫瘤.初診時CTにて後腹膜腔に8cm大のガス貯留像を認めたため消化管との交通を疑い造影検査などを行ったが明らかな瘻孔形成などは認めなかった.腹痛などの症状もなく血液検査上も異常値を認めなかったため経過観察を行っていたが,6カ月後にガス陰影が増大し腹部圧迫感が出現したため試験開腹術を行った.右後腹膜腔に被膜に覆われた15cm大の境界明瞭な腫瘤を認めドレナージを行った.腫瘤内に液体成分はなく気体成分の貯留のみであった.腹腔内を検索したが消化管との交通を疑う所見はなかった.術後同部位に再発を認めたためCTガイド下ドレナージ術を行ったが,現在まで15カ月間再発は認めていない.発熱や炎症を伴わない後腹膜気腫症に対し経皮的ドレナージ術は有用な治療法の一つであると考えられた.臨床経過・画像所見ともに非典型的で原因不明な後腹膜気腫症を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した.

著者関連情報
© 2014 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top