日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
内痔核に対するALTA療法の治療成績
大澤 智徳石橋 敬一郎田島 雄介天野 邦彦隈元 謙介石田 秀行
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2014 年 75 巻 3 号 p. 627-632

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抄録

2005年に臨床導入された内痔核に対するALTA療法は,その簡便さと安全性から広く普及してきたが,治療成績の報告は少ない.当科でALTA療法を行った310例の治療成績は,観察期間32(5-65)カ月,手術時間15(4-27)分,ALTA総注射量は25(6-40)mL,一痔核あたりの注射量は10(6-15)mLであった.合併症は28例(9%)に認められ,いずれも対症療法で軽快した.再発は10例(3.2%)に認められ,再発の形態は8例が内痔核の再脱出,2例が外痔核成分の腫脹であった.再発例と非再発例を比較した結果,年齢・性別・Goligher分類・手術時間・痔核処理数・ALTA注射量について有意差を認めなかった.再発例の検討で再発部位は右前方に多く,再発時期は術後5カ月以内の早期再発と,17カ月以降の晩期再発の二峰性を示した.これら再発例に対しても再治療を行った.ALTA療法は良性疾患である内痔核に対する治療法で,再発に対しても再治療が可能であり,その優れた低侵襲性や安全性から標準治療の一つに適すると考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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