抄録
症例は52歳の男性で,約2年続く,つかえ感を主訴に当院消化器内科を受診した.食道造影検査上,食道収縮時の異常所見を認め,精査目的に紹介となった.上部消化管内視鏡検査と胸部CTでは,明らかな異常はなかった.食道内圧検査ではLESの弛緩不全を認め,食道体部運動はすべての水嚥下に対し逆行性蠕動を示した.また,食道体部の収縮力は低下していた.以上の所見より,non-specific esophageal motility disorders (NEMD)と診断し,腹腔鏡下Heller-Dor手術を施行した.術中および術後の合併症なく,術後4日目に軽快退院となった.現在,外来にて経過観察中であるが,つかえ感は完全に消失した.また術後の食道内圧検査で,逆行性蠕動は消失し,LESの嚥下性弛緩も認められるようになった.逆行性蠕動を認めるNEMDは極めてまれであり,外科的治療にて良好な結果を得たので報告した.