日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃全摘術の10年後に生じた原発性小腸軸捻の1例
目崎 久美花岡 俊仁小林 成行中川 和彦福原 哲治小林 一泰
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キーワード: 小腸軸捻, 胃切除, 原発性
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2014 年 75 巻 3 号 p. 696-700

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抄録

症例は70歳,男性.60歳時に早期胃癌に対して脾摘を伴う胃全摘術・ρ-Roux-en-Y再建を施行され,再発なく経過良好であった.急激な腹痛を主訴に当院を受診した.身体所見では腹部全体に筋性防御を伴う圧痛を認め,腹部CTでは小腸間膜が渦巻き状に描出されるwhirl signを認めた.絞扼性イレウスと診断し緊急開腹術を行った.開腹時に白色に混濁した腹水を認め,乳糜が疑われた.腹腔内には癒着をほとんど認めなかった.小腸間膜が根部で約720度捻転しており,小腸の色調は全体に不良であった.捻転を解除したところ,腸管の色調は回復した.腸間膜が長かったため,短縮するように結腸間膜に縫合固定し,イレウス管を挿入して内固定とし,手術を終了した.術後の経過は良好で,再発を認めていない.

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© 2014 日本臨床外科学会
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