日本臨床外科学会雑誌
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症例
兄妹同時に発症した急性虫垂炎
荒木 吉朗荒木 浩小倉 徳裕權 雅憲
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キーワード: 急性虫垂炎, 家族性, 遺伝性
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2014 年 75 巻 3 号 p. 701-706

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抄録
長女・長男・次女の3人きょうだいで長女は以前に急性虫垂炎で保存的に加療した既往あり.症例1は次女,15歳.主訴は右下腹部痛.右下腹部圧痛あり.CTで虫垂腫脹,採血で炎症反応上昇を認め,急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行した.Retrocecalな糞石を伴った壊疽性虫垂炎であった.症例2は長男,17歳.主訴は右下腹部痛と発熱.右下腹部圧痛と腹膜刺激症状あり.CTで糞石あり,採血で炎症反応上昇を認め,急性虫垂炎の診断で次女が手術した翌々日に虫垂切除術を施行した.Retrocecalな糞石を伴った蜂窩織炎性虫垂炎であった.Retrocecalな虫垂の形態などの虫垂炎を起こし易い遺伝的素因があり,食餌・感染・情報などが影響し,今回の長男と次女の同時発症に至ったものと考えられた.急性虫垂炎の診断・手術適応に際しては,家族歴を重視すべきである.
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© 2014 日本臨床外科学会
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