抄録
症例は43歳の男性.排便困難と下血を主訴に近医を受診し,造影CTと下部消化管内視鏡検査で直腸前壁に9cm大の粘膜下腫瘍を認め,精査加療目的で当院紹介となった.直腸診で肛門縁から約3cm口側に直腸前壁に突出する腫瘤を触知し,経直腸的生検で直腸GISTと診断された.腫瘍が大きく手術操作が困難なことが予想され,患者の肛門温存の希望が強かったため,イマチニブによる術前治療を行った.6カ月後のCTで腫瘤は4.5cmまで縮小し,腹腔鏡補助下に前立腺組織の一部切除を含むpartial ISRを施行した.直腸の巨大GISTに対してはしばしば拡大手術が必要になるが,本症例ではイマチニブの術前補助療法により根治性を損なわない機能温存術が施行できたため,報告した.