抄録
症例は79歳,男性.外来経過観察中にCEA高値を認めた.腹部造影CTにて直腸左側レベルに23×22mm大の骨盤内腫瘍を指摘された.下部内視鏡検査では粘膜下腫瘍所見を認めるのみで粘膜面には全く異常を認めなかった.悪性の粘膜下腫瘍を疑い,手術は腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.病理診断では,中分化腺癌であった.腫瘍と粘膜面との連続性は確認できず,全身検索を行うも原発巣と考えられる局在病変を認めなかった.粘膜下腫瘍様の形態を呈する直腸癌は稀な疾患であり,検索しえた限りでは本邦での報告例は本症例を含め13例のみであった.