2014 年 75 巻 3 号 p. 769-774
症例は52歳,女性.検診で巨大肝嚢胞を指摘されていた.心窩部不快感を自覚するようになり当院を受診した.腹部造影CTで,肝右葉を占拠する最大径18cmの境界明瞭な嚢胞性病変を認めた.腹部MRIでは病変内部はT1強調像で低信号,T2強調像で著明な高信号を呈し,胆管との交通は確認できなかった.有症状の単純性肝嚢胞と診断し腹腔鏡下肝嚢胞天蓋切除術を施行した.術中,嚢胞壁内側より胆汁漏出が確認され,開口部は縫合閉鎖した.胆管と交通を有した単純性肝嚢胞は稀な病態であるが,鏡視下での胆管交通部縫合閉鎖で対応可能であった症例を経験したので報告する.