抄録
症例は59歳の男性で,発熱を主訴に近医を受診し,肝膿瘍の疑いで紹介となった.血液検査で軽度の白血球上昇とCRP上昇を認め,腹部造影CTおよびMRIで肝右葉前区域に辺縁リング状に造影される径45mm大の腫瘤を認めた.経皮的ドレナージを行うも改善なく,CA19-9の上昇傾向もみられたため肝切除を施行した.切除標本は中心壊死を伴う,境界比較的明瞭な灰白色の充実性腫瘍であった.病理組織学的検査所見には,短紡錘形~類円形の腫瘍細胞がび漫性に増生する像を認め,免疫組織化学染色で胆管癌由来のsarcomatoid carcinomaと診断した.術後早期に癌性胸膜炎および多発骨転移が顕性化し,第39病日で死亡した.肝sarcomatoid carcinomaの発生要因として,肝動脈塞栓化学療法などの前治療との関与を示唆する報告があるが,本症例は治療歴のない稀有な症例であった.