2014 年 75 巻 4 号 p. 1010-1015
症例は74歳,男性.平成24年7月初め,意識障害のため,頭部CTにて脳腫瘍を指摘された.当院脳外科で脳腫瘍摘出術が施行され,病理組織診断は消化管からの転移と診断された.精査で直腸S状部に3cm大の癌を認めた.全脳照射を追加後,当科にて低位前方切除を施行した.Performance status 2であったことや本人の希望で術後補助化学療法は施行しなかった.術後4カ月と7カ月に脳転移再発を認めたが,γナイフ療法が施行され,現在までの13カ月間,他の臓器に再発は認めていない.大腸癌に脳転移を認めた場合,他の遠隔転移も伴う場合が多いため予後は不良である.本症例がγナイフによる治療で,良好なQOLを保ていることから,γナイフは脳転移の治療として有用と思われる.