抄録
症例は45歳,男性.大酒家.入院3日前,立ち上がった際,腹部が引っ張られるような痛みがあった.その後,腹部膨満感,さらに立ちくらみも出現したため受診した.CTでは肝は肝硬変を呈し血性腹水を認め,傍臍静脈の拡張と上行結腸周囲に門脈圧亢進症に伴うと思われる側副血行路を認めた.入院翌日,背部痛と気分不良,冷汗が出現した.CTではMorrison窩中心に活動性の出血を認めた.上行結腸周囲の異所性静脈瘤破裂による腹腔内出血と診断し緊急開腹術を施行した.開腹するに上行結腸から後腹膜にかけて数珠状に拡張した静脈を認め,その一部静脈瘤が破裂し出血しており破裂部を結紮し摘出した.門脈圧亢進症による異所性静脈瘤が破裂し腹腔内出血をきたすことはまれであり,手術に至らず死亡する症例も多く予後は不良とされている.肝硬変症例の腹腔内出血に際しては異所性静脈瘤破裂も考慮し,早期診断・治療が必要である.