抄録
症例は73歳,男性.心窩部痛と上腹部腫瘤の精査目的に当科紹介となった.腹部CTにて,内出血を伴う径11cmの肝腫瘍と腹水の貯留を認めた.肝細胞癌切迫破裂の疑いで開腹すると,多量の血性腹水の貯留と,肝左葉に破裂を伴い胃に浸潤した肝腫瘍を認めた.腫瘍は表面に小破裂を伴っており,肝S3亜区域切除と胃部分切除術を施行した.組織学的には異型核を有し,一部巨細胞化した紡錘形細胞の増殖を認め,肝未分化肉腫と診断された.術後1カ月目に肝左葉から胃幽門前庭部にかけての局所再発および腹腔内に散在する播種巣の急速増大を認め,第94病日に永眠された.肝未分化肉腫は小児に好発する非常に予後不良な間葉系腫瘍で,成人発症は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.