日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳房温存術後8年目にPaget型再発した乳癌の1例
今村 一歩橋本 敏章山口 泉伊藤 裕司古井 純一郎
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2014 年 75 巻 4 号 p. 901-905

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抄録

症例は52歳,女性.2005年2月に右乳癌(B領域)で,乳房温存手術・腋窩リンパ節郭清を施行された.病理組織学的診断は乳管内進展を伴う浸潤性乳管癌であった.術後放射線療法は希望されなかった.術後補助化学療法・内分泌療法を施行され,外来で経過観察されていた.2013年4月,右乳頭・乳輪部にびらん出現.生検でPaget細胞を認めたため,乳房温存術後Paget病の術前診断で残存乳房切除を行った.病理組織学的検査では乳頭部表皮内にPaget細胞を認め,その直下からB領域へ区域性に連続する乳管内進展像を示した.その癌分布範囲から,切除断端より発症したPaget再発と診断した.乳房温存術後8年目に発症したPaget再発であった.再発形式としては非常にまれであるが,早期発見・治療のためにはPaget再発も念頭に置いた乳房温存術後の厳重な経過観察が必要である.

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