日本臨床外科学会雑誌
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症例
レトロゾールによる内分泌療法が有効であった91歳男性乳癌の1例
中田 琢巳森川 あけみ杉山 保幸山田 鉄也
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2014 年 75 巻 4 号 p. 906-910

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抄録

症例は91歳,男性.併存症として,閉塞性動脈硬化症・狭心症・2型糖尿病・高血圧症などがあり,当院内科での治療中に左乳頭下に3.5cmの腫瘤を自覚するようになり当科を受診した.男性乳癌と診断されたが初期治療としては合併症を考慮してレトロゾール内服による内分泌療法が選択された.投与開始後から腫瘍の縮小が認められ,約6カ月間で腫瘤は1.7cmまでの縮小を認め,自覚症状は著明に改善した.症例の少なさから女性乳癌に比して男性乳癌の治療に対するエビデンスは限られている.このため,治療は基本的に女性乳癌に準じた治療がすすめられる.しかし,現在のところ内分泌療法に関してはアロマターゼ阻害剤の男性乳癌に対しての有用性は不明とされる.われわれは約半年間と短い観察期間であったものの男性乳癌の手術困難症例に対してレトロゾール単剤投与により著明な腫瘍の縮小を認めた症例を経験したので報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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