日本臨床外科学会雑誌
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症例
G-CSF産生大腸癌の1例
増田 剛澤田 鉄二奥野 倫久城月 順子村橋 邦康西野 光一
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2014 年 75 巻 4 号 p. 998-1004

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抄録

症例は60歳,男性.心房細動にて外来通院中,血液検査にて白血球数の著名な上昇を認めたため,精査目的で腹部超音波検査を施行したところ,S状結腸に壁肥厚を認めS状結腸癌が疑われた.下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に全周性のtype2進行大腸癌を認め,生検結果は高分化型腺癌であった.腫瘍による閉塞の危険があり,その他全身状態は問題なかったため,S状結腸癌に対しS状結腸切除術+D3郭清を施行した.病理組織学的にはtub2,type2,pSS,ly1,v1,pN1でfStage IIIa,腫瘍部のG-CSFに対する免疫染色は陽性であった.術後,白血球数は正常化した.著明な白血球数の上昇,腫瘍切除による白血球の減少と腫瘍部の免疫染色にてG-CSF抗体陽性であったことより,G-CSF産生S状結腸癌と診断した.G-CSF産生大腸癌はまれな疾患であり,文献的考察を加え報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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