日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
スペーサー挿入術により消化管が近接する腫瘍に陽子線治療を施行した6例
釼持 明久倉 勝治寺島 秀夫明石 義正櫻井 英幸大河内 信弘
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1164-1168

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抄録

骨盤内や後腹膜の腫瘍への放射線治療は,消化管が近接し高線量照射が難しい.エックス線治療より線量集中性が良い陽子線治療においても,消化管への線量低減が図り難い.われわれは消化管近接腫瘍への陽子線治療に際し,スペーサーを腫瘍と消化管の間に挿入している.子宮頸癌2例・子宮体癌1例・子宮肉腫1例・S状結腸癌1例・直腸癌1例の計6例に対し,スペーサー挿入後に陽子線治療を施行した.うち1例は同部位への照射歴を有していた.術式は,大網で包んだゴアテックスを腫瘍と消化管の間に固定し,消化管との間にセーフティーマージンを確保するという方法である.1例は小腸を切除したため,腸間膜をスペーサーとして用いた.術後,CTで腫瘍と消化管の間のセーフティーマージンを確認し,消化管近接腫瘍に対する高線量照射を安全に行い得た.

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© 2014 日本臨床外科学会
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