日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
食道癌肉腫7症例の臨床病理学的検討
中野 徹小澤 洋平直島 君成亀井 尚宮田 剛大内 憲明
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キーワード: 食道癌肉腫, 手術, G-CSF
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1169-1174

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抄録

食道癌肉腫は食道癌の中で比較的まれな組織型である.当院において,2000年から2013年の間に食道切除術が施行され,病理学的に癌肉腫と診断された7例について臨床病理学的検討を行った.全例男性,平均71歳.食道亜全摘術が5例に対して,食道亜全摘胃全摘術が2例に対して施行された.肉眼的形態は4例で0-Ip型を呈した.病理学的腫瘍深達度はT1bが3例,T2が2例,T3が2例であった.リンパ節転移を57.1%の症例に認めた.7例中2例に免疫染色でG-CSF陽性であった.1例は術後1年後に肺転移を生じ化学療法を施行している.1例は術後30病日に脳出血のため死亡した.7例中5例が無病生存中で,うち3例は5年以上生存している.深達度の浅い症例でもリンパ節転移の可能性があるので,治療には郭清を伴った食道切除術を中心とし,必要に応じて化学療法や放射線療法を加えることが妥当と考える.

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© 2014 日本臨床外科学会
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