日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃神経鞘腫切除後に発生したデスモイド腫瘍の1例
蔵前 太郎三橋 洋介大内 知之木ノ下 義宏久須美 貴哉武内 利直西田 靖仙細川 正夫
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1255-1260

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抄録

74歳,男性.平成17年に当院で胃粘膜下腫瘍を指摘され経過観察していたが,増大傾向を認めた.平成21年9月に腹腔鏡下胃部分切除を施行した.組織学的検討では神経鞘腫の診断であった.切除断端は陰性であった.術後定期的に経過観察していたが,平成23年11月の上部消化管内視鏡にて前回部分切除部に約8cmの粘膜下腫瘍を認めた.腫瘍は膵体部・空腸・横行結腸間膜に浸潤しており,平成24年12月に胃全摘,膵体尾部・脾臓合併切除,空腸部分切除および横行結腸部分切除を施行した.免疫組織染色による検討によりデスモイド腫瘍と診断された.その後,外来で定期観察中であるが,現在まで再発を認めていない.デスモイド腫瘍は外傷や手術後に発生することがあり,良性の粘膜下腫瘍術後でも定期的な経過観察は必要性が示唆された.

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