日本臨床外科学会雑誌
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症例
プラスチック製ふりかけ袋異食による回腸穿孔の1例
瀬尾 雄樹尾之内 誠基藤崎 眞人
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1316-1319

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抄録

症例は23歳,女性.統合失調症のため当院精神神経科に入院中,夜間に突然の腹痛・発熱を認め,翌朝外科依頼となった.腹部全体に圧痛および腹膜刺激症状を認めた.腹部CTで腹水と腸間膜内のfree airおよび小腸に線状の高吸収域を認め,異物による消化管穿孔に伴う腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見で混濁した腹水を中等量認めた.回腸末端より約40cm口側の回腸に硬い異物を触れ,腸間膜側に穿孔を認め,穿孔部腸管の切除吻合,腹腔洗浄ドレナージを施行した.切除腸管内の異物は5cm大のプラスチック製ふりかけ袋が4つ折りに折られたもので,袋の角が腸管粘膜に刺入し潰瘍を形成していた.消化管穿孔の原因となる異物として魚骨や義歯などの報告が多いが,ふりかけ袋による穿孔は過去に報告例が見当たらなかった.精神疾患患者の急性腹症の診察には異物による消化管穿孔を念頭に置く必要があり,診断にはCTが有用である.

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© 2014 日本臨床外科学会
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