日本臨床外科学会雑誌
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症例
先天性胆道拡張症術後13年目に発生した肝門部胆管癌の1例
阪本 卓也富丸 慶人小林 省吾土岐 祐一郎森 正樹永野 浩昭
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1402-1406

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抄録

症例は64歳,女性.2000年に先天性胆道拡張症に対して総胆管嚢腫切除,胆嚢摘出,胆道再建術(Roux-en Y再建)を施行された.術後は年に1回の画像検査を行っていたが,2013年1月のMRI検査で肝門部腫瘤を指摘され,当院を紹介された.腹部造影CT検査で肝門部に長径55mm大の腫瘍を認めた.左葉側は左肝管まで,右葉側は前後区域枝の分岐部まで腫瘍進展を認め,肝門部胆管癌(T2N0M(-) Stage II)と診断し,同年4月に肝右葉切除・胆道再々建術を施行した.術中超音波検査で腫瘍は肝門部から右肝管にかけて存在したため,胆管は左肝管の末梢側で切離可能で,術中迅速病理検査による胆管断端は陰性であった.術後病理診断では,pT2N0M(-) pStage IIであった.しばしば,先天性胆道拡張症では分流手術後の胆管癌の発生が問題となるため,胆道癌発生に留意した長期間の経過観察が重要であると考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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