日本臨床外科学会雑誌
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症例
ヘルニア嚢を穿破し腹腔内に小腸が脱出していた右傍十二指腸ヘルニアの1例
高梨 裕典礒垣 淳奥村 拓也山下 公裕鈴木 憲次川辺 昭浩
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1433-1436

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抄録

症例は78歳,女性.腹痛,嘔吐を主訴に受診した.右側腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知した.腹部CT検査では右側腹部に集簇した小腸のclosed loop形成と,腸間膜のwhirl signを認めた.内ヘルニアによる絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を施行した.腹腔鏡下に観察すると小腸が空腸起始部のヘルニア門より右結腸間膜背側へ嵌入していた.さらに,ヘルニア内容の小腸はヘルニア嚢を穿破し回腸間膜背側から腹腔内に脱出していた.腹腔鏡下の整復が困難であり開腹へ移行した.十二指腸水平脚とTreitz靱帯の形成不全を認め,十二指腸水平脚の回転異常を伴う右傍十二指腸ヘルニアと診断した.小腸を整復し,ヘルニア門を縫縮した.先天的に存在した右傍十二指腸ヘルニアに腹圧や腸蠕動が加わった為に小腸の陥入が助長されヘルニア嚢が破綻し,内ヘルニアが進行した為にイレウスが発症したと考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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