抄録
症例は65歳の男性で,2010年2月よりつかえ感を自覚し当院を受診.精査にて胸部食道扁平上皮癌,Lt,2型,cT3N1M1(肝),Stage IVbと診断された.肝転移はS8に直径4cmの単発であった.同年4月より,5-FU/Cisplatin療法を4コース行い,肝転移巣は縮小効果をえたが,原発巣には効果を認めなかった.一方で,Grade4の貧血などの有害事象を呈した.原発巣,転移巣ともに切除可能と判断し食道切除再建術を先行する二期的手術を予定した.9月に右開胸開腹食道亜全摘術を,2011年4月に肝部分切除術をそれぞれ施行した.その後は無治療で経過観察中であるが,治療開始後4年3カ月現在,無再発生存中である.限られた症例ではあるが,一定の条件の下では同時性肝転移に対する集学的治療に外科治療が有用となる可能性が示唆された.