2014 年 75 巻 7 号 p. 1853-1856
重症心身障害児においては,様々な理由で経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)が困難な症例が存在する.今回われわれは,高度側彎を伴う重症心身障害児に腹腔鏡下胃瘻造設術を行った1例を経験した.症例は11歳女性.蘇生後低酸素脳症・痙性四肢麻痺にて経過観察していた.外来にて経鼻胃管交換を行っていたが側彎の増悪を認め,挿入困難となってきたため胃瘻造設を予定した.手術は腹腔鏡下に行い,胃の左上方への変位が強く,胃の挙上に伴う変形が危惧されたため,肝円索を臍部近傍にて離断,授動し腹壁から胃まで長さを確保し,肝円索内部を通過するように12Fr胃瘻チューブを挿入した.術後3カ月目に行った胃瘻チューブ交換では,スムーズな交換が可能であった.定期的な胃瘻チューブ交換を長期間必要とする重症心身障害児においては,体型や発育による変位を考慮し,スムーズなチューブ入れ換えの経路を作成することが重要であり,肝円索の利用は有用と考えられた.