抄録
症例は70歳台,男性.2008年7月より,C型肝炎に伴う肝細胞癌の診断にて当院内科でTACE・RFAを繰り返していた.その治療中に約1年間で直径11mmから37mmに増大する後腹膜腫瘍を指摘され,当科紹介となった.CTでは腫瘍は膵体部背面に位置し,左腎動静脈に接していたが,副腎との関係を認めず,造影効果を認めた.肝S4に直径10mm大の肝細胞癌を認めた.腫瘍マーカーCEA・CA19-9・AFPは正常範囲内であったが,PIVKA-IIは腫瘍の増大に伴い約1年で62から816mAU/mlに増加していた.肝細胞癌の転移が最も疑われ,確定診断および治療を目的に開腹手術を施行した.左肋骨弓下切開で開腹し,膵体尾部・脾臓を脱転後に,腫瘍を摘出した.術後病理組織学的に肝細胞癌の後腹膜転移と診断された.PIVKA-IIは術後1カ月後で正常化した.肝細胞癌の後腹膜転移は比較的まれであり,文献的考察を加えて報告する.