抄録
症例は71歳,女性.2003年に門脈肝静脈短絡症の診断.2007年に肝S6に肝細胞癌が出現,肝部分切除を行っている.4年後に撮影したCTにて肝内側区域に腫瘍性病変が出現した.既往歴では輸血,肝炎の既往,代謝異常なし.入院時の所見では意識障害,全身倦怠などの症状ないが,T-Bil 1.7mg/dl,NH3 122μg/dl,ICG15分値34%と異常値を認めた.CTにて肝内側区域足側に早期濃染,washoutする3cm大の腫瘍を認め,同時に,門脈前区域枝から中肝静脈に繋がる,太さ17mmのPVシャントを認めた.手術はS4足側区域切除を行い,中肝静脈を末梢側にて縫合,PV-シャントを閉塞させた.病理診断で高分化型肝細胞癌.経過は良好で13術日退院.肝機能検査値は正常化した.肝癌リスクファクターのない症例に,2度にわたり発生した肝細胞癌を発症した症例を経験したので報告する.