日本臨床外科学会雑誌
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症例
腎癌膵転移術後再発に残膵全摘を施行した1例
今神 透松尾 洋一柴田 孝弥岡田 祐二木村 昌弘竹山 廣光
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2014 年 75 巻 7 号 p. 2019-2023

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抄録

近年,腎癌膵転移に対する外科治療の報告が散見されるが,症例の蓄積はいまだ少なく,その治療方針には一定の見解を得ていない.今回われわれは,腎癌膵転移に対して膵体尾部切除術を施行した後,残膵に腎癌の再発を発症したため残膵全摘を施行した症例を経験したため報告する.症例は59歳男性.右腎癌術後4年に膵転移を発症し,膵体尾部切除術を施行した.術後は化学療法を施行せず経過観察とした.術後1年で残膵に腎癌の再発を発症したため残膵全摘を施行した.術後1年で腎癌の多発肝転移および後腹膜転移を発症したため化学療法を開始し,残膵全摘より術後4年生存中である.腎癌膵転移は,残膵に再発した症例に対しても積極的な外科治療を含めた集学的治療により良好な予後が得られると考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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