抄録
目的:右側結腸癌に対する腹腔鏡下手術において,肥満が周術期成績に及ぼす影響について検討する.対象および方法:2010年4月から2013年12月までに右側結腸癌に対して腹腔鏡下手術を施行した80症例を対象とした.対象をBMI≧25およびX線CT計測法による内臓脂肪面積(以下,VFA)≧100cm2を基準値として肥満群と非肥満群に分類し,患者背景,周術期成績に関して後方視的に検討した.結果:患者背景因子,術後成績に関しては両群間で有意差を認めなかった.手術成績に関して,高VFA群で手術時間は有意に延長し(P=0.026),術中出血量も有意に増加したが(P=0.025),BMI分類では両群間に有意差を認めなかった.結語:右側結腸癌に対する腹腔鏡下手術において,手術難易度を適切に予測する肥満の指標としてはBMIよりも内臓脂肪量を反映するVFAが優れていると考えられた.