抄録
下部消化管穿孔は致死率の高い重症疾患であり,合併症を有する血液透析患者では予後はさらに悪いと予想される.われわれは当院の維持透析患者に生じた下部消化管穿孔の手術症例を検討した.2006年~2011年に下部消化管穿孔に対し手術を行った維持血液透析患者は10例で,死亡例は4例(40%).背景腎疾患は常染色体優性多発性嚢胞腎が5例と多く,15年以上の長期透析症例は6例中5例が生存.穿孔の原因は大腸憩室が6例で,穿孔部位は10例中8例が左側結腸から直腸であり,全例一期的吻合は行われなかった.術後は6例にエンドトキシン除去療法を施行したが,うち4例は死亡.生存例と比較すると死亡例では術前の白血球低下を有意に認め,発症から手術までの時間も死亡例で長時間である傾向が認められた.下部消化管穿孔は血液透析患者においては予後が悪く,白血球が低下する前の迅速な診断と手術が重要である.