抄録
症例は37歳,男性.腹痛を主訴に近医を受診し,腹部CTとMRIで6×6×5cmの腹腔内腫瘤を指摘され,当院紹介となった.手術を予定したが,再検のCTで,腹腔内の腫瘤を同定できなかった.このため精査予定としたが,以降受診されなかった.1年3カ月後,発熱・腹痛にて当院を受診され,腹部CTで腹腔内に再度6×6×6cmの腫瘤,周囲の脂肪組織の軽度混濁を認めた.Meckel憩室炎の可能性を考え保存的に治療した後,待機的に手術を行った.術中所見では回腸の間膜側から間膜内にかけて小児手拳大の腫瘤を認め,小腸部分切除術を施行した.腫瘤内腔は出血を伴う壊死に陥っており,腸管内腔と交通していた.病理組織像にて紡錘状の腫瘍細胞が錯綜状に増殖しており,免疫染色ではKIT陽性にて小腸GISTと診断された.腫瘤陰影の大きさが変化し,憩室炎様症状を呈するといった稀な経過であったため,文献的考察を加え報告する.