2014 年 75 巻 8 号 p. 2229-2233
症例は59歳の男性.持続する発熱と貧血の精査で当院を受診,CT検査で7cm大の腹腔内腫瘤を認め悪性リンパ腫が疑われた.手術を予定していたが突然の腹痛にて当施設を受診,腹部MRI検査にて,腹水・腹腔内ガス像を認め穿孔性腹膜炎を疑い緊急手術を行った.手術では回腸に穿孔した腫瘍を認め,腫瘍を含む小腸を切除した.病理検査ではCD8,CD56陽性でtype II enteropathy associated T-cell lymphoma (EATL II)と診断した.術後に縫合不全を認め人工肛門造設術を行った.CHOP療法による化学療法を開始し最初は化学療法に反応したが4コースを終了した時点で増大傾向を認めた.その後,GDP療法,自己末梢血幹細胞移植を行ったが合併症のため死亡した.EATL IIはまれで予後不良な疾患であり治療法は確立されていない.小腸穿孔に至ったEATL IIの1例を経験したので報告する.