日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性虫垂炎による不完全型虫垂重積症の1例
山崎 祐樹前多 力新保 敏史吉光 裕佐久間 寛
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2014 年 75 巻 8 号 p. 2239-2242

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抄録

症例は43歳,女性.腹痛を主訴に救急外来を受診した.右側腹部に腫瘤を触知し,同部位に腹膜刺激症状を認めた.血液検査では炎症反応の上昇がみられ,腹部CT検査で右下腹部にtarget signを認めたため,限局性腹膜炎を伴う腸重積症と診断し,緊急手術を施行した.虫垂根部および回腸が上行結腸内に重積しており,用手的に重積を解除した.盲腸内に腫瘤性病変を触知したため,悪性病変の可能性を考慮し回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腫瘍性病変は認めず,虫垂根部に膿瘍の形成を認めた.急性虫垂炎により根部が炎症性腫瘤を形成し,これが先進部となった虫垂重積症と診断した.成人腸重積症は比較的稀な疾患であるが,なかでも虫垂腸重積症は頻度が少ない.原因として腫瘍や糞石などが先進部となることが多いが,今回われわれは急性虫垂炎が原因となった虫垂重積症の稀な1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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