日本臨床外科学会雑誌
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症例
右側結腸間膜内に壁外発育し巨大な内腔を形成した横行結腸粘液癌の1例
小川 明男生田 宏次早田 篤司安藤 公隆千木良 晴ひこ
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2014 年 75 巻 8 号 p. 2252-2257

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抄録

症例は60歳の男性.3カ月前から右下腹部痛が出現し来院.右腹部膨隆を認めた.横行結腸と交通のある巨大な内腔を有する腫瘍あるいは膿瘍を疑診し準緊急的に手術を施行した.開腹すると,腫瘍は上行結腸から横行結腸に及ぶ右側結腸間膜のほぼ全域を占めており,十二指腸に一部浸潤を認め,腫瘍表面および腹腔内に腹膜播種結節を多数認めた.右半結腸切除,十二指腸部分切除,胃空腸吻合術を施行した.切除標本肉眼所見で腫瘍は20×15cm大で横行結腸に1.5cm径の穿孔部を認めた.病理組織診断は横行結腸原発のmucinous adenocarcinomaであった.cT4b(十二指腸)pNXcM1a(P3),Stage IV.術後1年6カ月後原病死した.
自験例は壁外発育型大腸粘液癌の本邦10例目であった.壁外発育型大腸粘液癌は横行結腸に多くリンパ節転移が少ないことが特徴的であった.

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© 2014 日本臨床外科学会
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