抄録
症例は74歳,男性.腹痛を主訴に当院受診,腹部CTで盲腸背側に拡張した小腸を認め,盲腸周囲ヘルニアの診断で入院となった.入院後,胃管留置で症状改善したため,入院後第2病日に待機的の手術予定となった.手術当日早朝に体温38.5℃の発熱を認め,3時間後の入室時の意識レベルはIII-100,血圧68/40mmHg,脈拍112回とショック状態を呈していた.麻酔導入直後,血圧が触知不能となったため,心臓マッサージを行いながら手術を開始した.開腹すると回腸末端から約50cm部位が盲腸後方の陥凹に嵌頓していた.用手的に整復したが,腸管の色調は保たれていたので,腸切除は行わなかった.腹膜陥凹部は縫合閉鎖した.盲腸周囲ヘルニアは比較的稀な疾患であるが,特徴的なCT所見があり,術前診断が可能である.保存的加療に抵抗性であり,診断がつき次第,迅速に手術を行う必要がある.