日本臨床外科学会雑誌
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症例
限局する嚢胞状の気管支拡張を伴い腫瘤影を呈した気管支結石の1例
目崎 久美花岡 俊仁中川 和彦小林 成行福原 哲治小林 一泰白川 敦子
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2014 年 75 巻 9 号 p. 2447-2451

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抄録

症例は80歳,男性.以前より軽度の肺炎を繰り返していた.今回,咳と痰の再燃を主訴に受診した.血液検査で炎症反応の上昇を認め,胸部CTでは右中葉の無気肺と,その中枢側に石灰化を伴う腫瘤影を認めた.閉塞性肺炎の診断で抗生剤による加療が行われた.肺炎は改善したが,腫瘤影が残存したため精査を行ったところ,悪性所見を認めなかった.今後も肺炎を反復する可能性があることと,腫瘍性病変が否定できないことから,右中葉切除術を行った.B4とB5の分岐部に腫瘤を触知し,切開すると粘液で満たされた嚢胞状の気管支拡張を認め,その近傍に黄白色の結石が存在していた.以前のCT所見も考えあわせると,限局した気管支拡張の内腔に粘液の石灰化による気管支結石が形成され,炎症による肉芽組織を伴って腫瘤となり,閉塞性肺炎を生じたと考えられた.気管支結石として稀な所見を示し,手術により診断された1例を経験したため,考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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