抄録
生来健康な39歳の男性が右中肺野の繰り返す肺炎に対する精査を目的に当科へ紹介があった.胸部MDCTでは上下葉区(S6)と底区域の間において,総肺底区気管支から分岐する区域枝レベルで途絶し拡張した気管支とその周囲の気腫状肺を認めた.本症例は右肺下葉気管支の分岐パターンは正常であったため,上枝下下葉枝(B*)が閉塞した先天性気管支拡張症と診断した.また,この症例はS*と底区域の間に,馬渡らがPosterior Pulmonary Lobe(PPL)と報告している深い異常分葉を伴っていた.この症例に対して胸腔鏡補助下にS6+S*区域切除術を施行した.今回われわれは,B*が閉鎖しさらに異常分葉を伴った非常に稀な先天性気管支閉鎖症を経験した.MDCTが診断とともに術式決定における詳細な解剖学的理解に有用であった.