日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡補助下低位前方切除術後に発症した肺動脈血栓症と門脈血栓症の1例
丹羽 真佐夫関野 考史村瀬 勝俊木村 真樹関野 誠史郎竹村 博文
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2015 年 76 巻 1 号 p. 26-31

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抄録

症例は61歳の男性,下血を主訴に当院紹介受診した.下部消化管内視鏡検査で直腸Raに1型腫瘍を認め,生検で高~中分化腺癌と診断された.直腸癌の診断で腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した.手術時間は4時間1分,出血量は25mlだった.術後は経過良好だったが,6PODに腹痛・炎症反応上昇を認め,CTで右内腸骨静脈血栓からの肺動脈血栓症と下腸間膜静脈血栓からの門脈血栓症と診断した.明らかな凝固系の異常は認めなかった.抗凝固療法を開始し,症状の改善と画像上の血栓の縮小を認めたため24PODに退院となった.腹腔鏡補助下手術後の肺動脈血栓症と門脈血栓症の同時発症の報告例は極めて稀なため,自験例に文献的考察を加え報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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