抄録
症例は73歳,男性.1年前から軽度心不全による胸水貯留と診断され循環器内科通院中であった.食欲不振,体重減少が出現し,消化器内科で原因不明の幽門狭窄症と診断された.バルーン拡張術を施行するも改善を認めないため,手術目的に当科紹介受診し,幽門側胃切除術を施行した.病理組織所見では,粘膜の萎縮と筋層の発達増生を認めた.悪性を示唆する所見は認めなかった.その後,心不全の増悪を認め,心臓超音波検査所見の壁内顆粒状の高輝度エコーより全身性アミロイドーシスが疑われたため,手術検体をCongo red染色し再検した.粘膜筋板,血管壁,筋層にアミロイドの沈着を確認し,全身性アミロイドーシスによる幽門狭窄症の確定診断に至った.幽門狭窄症の鑑別診断の一つにアミロイドーシスを念頭に置くべきで,生検組織にCongo red染色の追加を検討する必要があると考えられた.