抄録
症例は85歳,男性.胃癌の診断にて幽門側胃切除術を施行.Roux-en-Y法にて再建を行った.術後吻合部の通過障害が出現し,症状が遷延したため内視鏡検査を施行したところ,盲端側空腸が胃内に突出しており,胃空腸吻合部腸重積と診断した.内視鏡的整復が困難であったため,24病日に再開腹を行い,重積部位を含めた吻合部切除および再度のRoux-en-Y再建を施行した.再手術後は通過障害が改善し,35病日に退院となった.
胃切除後の腸重積,特にRoux-en-Y再建後胃空腸吻合部腸重積の報告は少なく,術後の通過障害における鑑別疾患に挙げるのは困難な疾患である.一方,重積腸管は時間の経過とともに,虚血性変化が出現し,腸管壊死に至ることもあるため,迅速な対応が要求される.本疾患の対策とし,再建時に盲端が嵌入せぬよう対策をとるとともに,術後の通過障害時には本合併症も鑑別診断の一つに挙げ,内視鏡検査を用いた早期診断に努めることが重要と考える.