日本臨床外科学会雑誌
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症例
経鼻経食道的腹腔ドレナージが奏効した腹腔鏡下胃全摘術後縫合不全の1例
小野澤 寿志持木 彫人福地 稔熊谷 洋一石橋 敬一郎石田 秀行
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キーワード: 胃癌, 縫合不全, ドレナージ
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2015 年 76 巻 10 号 p. 2433-2437

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抄録

症例は66歳,男性.胃癌U,Post,cType2,cT2,N0,H0,P0,M0,cStage IBの診断にて,腹腔鏡下胃全摘術,D2(-10)郭清術,Roux-en-Y再建術を施行.術後,第3病日より39度台の発熱を認め,第7病日に施行した上部消化管造影検査で,吻合部から腹腔内への造影剤流出を認め,縫合不全の診断となった.第8病日,透視下内視鏡下に経鼻胃管による経鼻経食道的腹腔ドレナージを開始.第22病日(ドレナージ開始後12日目)に膿瘍腔の消失を認めたため,胃管抜去しドレナージ終了した.その後は症状再燃なく,第38病日に退院した.胃癌術後の縫合不全により生じる腹腔内膿瘍に対し,経腹的アプローチが困難な症例でも,本治療法は低侵襲的に治癒可能であり,有用と考えられる.

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© 2015 日本臨床外科学会
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