日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性腸間膜血腫の1例
岐部 晋前山 良仲田 興平本下 潤一許斐 裕之大城戸 政行一宮 仁
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2015 年 76 巻 11 号 p. 2745-2748

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抄録

今回われわれは,稀な特発性腸間膜血腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は56歳,男性.2014年11月に突然の腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.視触診で腹部膨満と下腹部全体の圧痛を認めた.腹部造影CT検査ではS状結腸間膜に約10cmの血腫を認め,造影剤の血管外漏出像を認めた.血管造影検査ではS状結腸の直動脈から造影剤の血管外漏出像を認めた.コイルによる血管塞栓を試みたが困難であり,手術を施行した.腹腔鏡下で観察を行うと,腹腔内には多量の血液が貯留し,S状結腸間膜は血腫のため著明に腫大していた.腹腔鏡下では出血点の確認が困難であり,開腹術に移行した.腸間膜内の血腫を除去すると,直動脈から活動性の出血を認めたために結紮止血した.腸管壁は菲薄化し虚血に陥っていたためS状結腸を部分切除し,Hartmann手術を施行した.病理組織検査で血管病変や悪性所見を認めず,特発性腸間膜血腫と診断した.

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